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TPPとは一体なんだったのか?アメリカグローバリズムは必ずしもアメリカの利益ではないというねじれ。日米の間の空を覆うエスタブリッシュコミュニティのクラウド。

 安部首相がNYで有頂天になって、「トランプ氏は信頼できるリーダーだ」と持ち上げたわずか三日後、トランプ次期大統領は動画メッセージで、公約どおり就任初日にTPPから離脱する、と宣言した。
 本当に、大人と子供との貫禄の違いみたいで、どうしょうもない。

 私たちは商品開発会社の一経営者としても、都市の一生活者としても基本的に市場開放・規制緩和に賛成でありTPP賛成派であった。
 これまでTPPについての政府・財界・マスコミなどの自由貿易派の文脈では、グローバル市場主義をヤミクモに押し付けてくるアメリカに対して、自由主義経済の理念は共有しつつも、国内の弱小農業者の聖域を如何に守りきるか、ぎりぎりのところで抵抗するというものだった。
 この文脈構造がガラリとひっくり返ったのがトランプ次期大統領の登場である。
 どう変わったのか?
 果たしてアメリカは自由主義経済を一方的に押し付けていたのか?
 アメリカには、巨大な、わが国よりはるかに強力な反グローバリズム、反自由主義の気分が存在していて、それがトランプ次期大統領を生み出したのではないか、ということ。

 トランプ次期大統領を生み出したのは、アメリカのかってWASPと呼ばれた分厚い中間所得層の熱烈な支持だ、という(渡瀬裕哉早大研究員ら)。
 トランプ支持者の家には固定電話もないとか、トランプ支持者には恥ずかしくて公言できない隠れ支持者が多いとか、全く根も葉もない、馬鹿も休み休み言ってくれといいたくなる。
 アメリカの代名詞といわれ、アメリカの最も厚いコアの層であるWASPが反グローバリズム、反経済自由主義であるというところがキモではないか。
 ならばグローバリズムを推し進めてきたアメリカとはいったい何なのか?

 アメリカは元来きわめて多様な国なのだが、その中にあって抜きん出てグローバリズムを推し進めてきたのが多国籍企業(代表的にはIT,医薬品、バイオ化学)と、それらにロビイングされた既存の政界、官界いわゆるestablishmentに過ぎない、という(猿田佐世弁護士)。
 アメリカの多国籍企業はアメリカそのものではない。アメリカの多国籍企業の利益は必ずしもアメリカの利益ではない。

 こういうことがわが国ではほとんど報道されないのは、いったいどういうことなんだろうか?
 わが国ではTPPというともっぱらコメと豚に矮小化され、最近になって急にびっくりしたようにアメリカのRustBeltの問題が取り上げられるようになったかと思うとすぐ忘れ去られる、という繰り返しだ。

 アメリカと日本の間の空には、日米の政界、官界、財界そしてマスコミに渡る、日米外交エスタブリッシュメント・コミュニティ(かってジャパンハンドラー、またアメリカンスクールと呼ばれたものを当然包含する)クラウドが覆いかぶさっていると考えることができる。
 そしてこれが時々とんでもない感違いをするのだろう。

 こういうエスタブリッシュメントの起こす勘違いのもうひとつが、12月7日トランプ・孫会談への政・財界の反応とその報道によく現れていた。
 榊原経団連会長の苦々しげな顔。
 孫氏がアキンドとして擦り寄っていく姿勢がひどく見苦しい、みっともない、そこを嫌ったトランプ氏がTV会見で孫氏を置いて、プイと横向いて去っていったのだろう、というものだ。
 私たちの見方は全く逆だ。むしろトランプ氏は孫さんに何か確実に一本取られたと思ってるからこそプイと横向いたのだと。

 このトランプ・孫会談はこれから始まる世界のひとつの側面をまことに象徴し、予感させるものだった。
 少なくとも日米関係に限っては、これまでのエスタブリッシュ・コミュニティの時代は終わったといえるのではなかろうか。またぜひ終わってほしい。
 TPPにかわる二国間交渉がもし始まるなら、理念や日米コミュニティの建前ではなく本当に現実的なタフなものになるはずだ。今度こそできるかぎりオープンにして、農業にしろ医薬にしろ特に私たちの命にかかわる分野については、本当にそれで安心安全なのか私たちにも十分議論ができる分かりやすい運び方をしてほしいものだ。 

 
 今月ちょっとばかし、入院していました。病室は、東京タワーに面していて、タワーの一日中の表情がよく見えました。

 東京タワーにかかる雲です。

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 夜もこんな風に美しい雲がかかります。

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 夜明けの東京タワーです。竣工したばかりの谷町のヴィラフォンテーヌ新館も見えます。

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